
ゴム業界で働く中で気付いた事を
日々コラムとして執筆していきます。
今回はVol.32ゴム製品におけるショットブラスト処理の重要性と接着技術への応用【アルミとの接着事例も解説】
というコラムを書いていきます。
ゴム製品の製造において、ショットブラスト処理は、表面の粗さや清浄度を向上させるための重要な工程です。この処理は、特に接着技術において非常に重要な役割を果たします。ゴムと他の材料(例えば金属やプラスチック)を接着する際に、ショットブラスト処理を行うことで、接着力を大幅に向上させることができます。今回は、ゴム製品におけるショットブラスト処理の重要性と、特にアルミニウムとの接着事例について詳しく解説します。
ショットブラスト処理の概要
ショットブラスト処理は、金属製の小さな球(ショット)を高圧でゴムや金属の表面に当てることによって、表面を粗くしたり、清浄化したりする技術です。この処理にはいくつかの利点があります:
- 表面粗さの増加:ショットブラストは、ゴムや金属の表面に微細な凹凸を作り出します。この粗さにより、後の接着剤がより多くの面積に接触し、接着強度が向上します。
- 表面の清浄化:ゴムや金属の表面に付着している油分や汚れを取り除くことができ、接着剤が表面にしっかりと結びつくようになります。
このように、ショットブラスト処理は接着における重要な前処理として使用されます。特に、ゴムと金属や他の素材を接着する際に、強い接着力を確保するために欠かせない処理です。
(引用)https://www.sinto.co.jp/product/surface/lineup/apparatus/shotblast/
ショットブラストで使用されるメディアの種類
ショットブラスト処理に使用する**メディア(ショット)**は、目的や素材によって選定されます。メディアの種類によって、処理の結果や表面の仕上がりが大きく変わるため、適切なメディア選定が非常に重要です。以下は、主に使用されるメディアの種類です:
スチールショット
- 特長:最も一般的に使用されるメディアで、硬度が高く、耐久性にも優れています。金属の表面を非常に効果的に清浄化し、粗さを増加させることができます。
- 用途:金属の表面処理に広く使用され、特にアルミニウムや鋼鉄などの金属製品に適しています。
スチールグリット
- 特長:スチールショットと似ていますが、より粗い仕上がりになります。スチールグリットは、より深い凹凸を作り出すため、接着力を向上させるために効果的です。
- 用途:表面の清浄化だけでなく、表面に強い粗さを必要とする場合に使用されます。特に耐摩耗性を高める必要がある場合に使用されます
ガラスビーズ
- 特長:ガラスビーズは、柔らかく、表面をあまり傷つけないという特性を持っています。処理によって、素材の表面が滑らかになり、光沢が増します。
- 用途:繊細な素材や、表面に光沢を与えたい場合に使用されます。アルミニウムやゴムに対しても使用され、表面を清浄化する際に役立ちます。
(4) アルミナ(アルミニウム酸化物)
- 特長:硬度が非常に高く、金属やゴムなどの表面を強く研磨することができます。特にアルミニウムの表面処理に適しています。
- 用途:アルミニウムの酸化皮膜を除去したり、表面に細かい粗さを与えたりするために使用されます。アルミニウムの接着力を高めるためには非常に効果的です。
(5) プラスチックビーズ
- 特長:プラスチックビーズは、非常に柔らかく、金属やゴムを傷つけずに表面の汚れを取り除きます。表面仕上げに優れた効果を持ちます。
- 用途:ゴム製品や軽金属の表面処理、または精密な研磨が求められる場合に使用されます。特に、表面を傷つけたくない場合に使用されます。
写真はスチールグリッド
(引用)https://www.sinto.co.jp/product/surface/lineup/media/ferrous/
ゴムと金属の接着技術への応用
ゴム製品を他の材料と接着する際、表面処理が非常に重要になります。ゴムと金属(例えばアルミニウム)を接着する際には、両者の表面性質が異なるため、接着力が不十分になることがあります。この問題を解決するために、ショットブラスト処理は非常に効果的です。
ゴムと金属の接着における問題点
ゴムと金属を接着する際に直面する主な問題点は、両者の表面性質の違いです。ゴムは非常に柔軟で弾力性がありますが、金属は硬く、表面が滑らかなため、接着剤がしっかりと接触するのが難しいことがあります。また、金属表面の油分や汚れも接着を妨げる原因となります。
ショットブラストによる解決方法
ショットブラスト処理を行うことで、金属表面に微細な凹凸を作り出し、接着剤が金属表面により多く接触できるようにします。この微細な凹凸は、接着剤が金属表面に浸透しやすくするため、接着強度が大幅に向上します。さらに、ショットブラスト処理によって金属表面の汚れや酸化物を除去することができ、接着剤が金属にしっかりと結びつきます。
アルミニウムとの接着事例
アルミニウムは軽量で強度が高い素材ですが、その表面は酸化アルミニウム(Al₂O₃)で覆われており、接着が難しいことがあります。この酸化物が接着剤と金属表面との結びつきを妨げるため、接着力が弱くなります。しかし、ショットブラスト処理を使用することで、この問題を解決することができます。
アルミニウムのショットブラスト処理
アルミニウムの表面にショットブラストを施すと、酸化アルミニウムが除去され、金属本来の表面が現れます。この状態の表面は、接着剤との親和性が高くなり、接着強度が向上します。また、アルミニウム表面に適度な粗さが生まれることで、接着剤がしっかりと結びつき、強い接着力が発揮されます。
アルミニウムとゴムの接着事例
アルミニウムとゴムを接着する際、ショットブラスト処理を施したアルミニウム表面に、接着剤を塗布し、ゴムと接着します。この方法を使用することで、ゴム製品と金属製部品(例えばアルミニウム製の構造部品など)をしっかりと接着することができます。特に、自動車や航空機などの産業では、ゴムと金属の接着が非常に重要であり、ショットブラスト処理を使用することで信頼性の高い接着が確保できます。
ショットブラスト処理の注意点
ショットブラスト処理を行う際には、以下の点に注意する必要があります:
- 過剰なブラスト:過剰にショットブラストを施すと、金属表面が過度に削られてしまい、強度が低下する可能性があります。適切な圧力と時間で処理を行うことが重要です。
- 適切なメディア選定:使用するショット(メディア)の種類によって、処理結果が異なります。ゴムや金属の特性に合ったメディアを選定することが求められます。
まとめ
ゴム製品と他の素材(特に金属)との接着には、表面処理が重要な役割を果たします。ショットブラスト処理は、ゴムと金属の接着を強化するための効果的な方法であり、表面の清浄化と粗さを増加させることによって接着力を向上させます。特に、アルミニウムとの接着においては、酸化アルミニウムを除去し、金属表面の親和性を高めるために不可欠な処理です。これにより、自動車産業や航空機産業をはじめとするさまざまな分野で、信頼性の高い接着を実現することができます。
コメント