ゴム業界で働く中で気付いた事を
日々コラムとして執筆していきます。
今回はVol.45ゴム成型機における真空ポンプの基礎知識と活用方法｜油式・水式の違いも徹底解説
というコラムを書いていきます。
はじめに
ゴム製品の品質を左右する重要な工程の一つが「成型工程」です。その中でも特に「エアトラップ（空気残り）」による不良を防ぐため、真空ポンプの導入と適切な運用が欠かせません。本記事では、真空ポンプの基本原理から、油式・水式の選び方、成型機への応用方法までを詳しく解説します。
1. 真空ポンプが成型に必要な理由
ゴムは粘性が高く、型に流し込む際に空気が残りやすい特性があります。この空気が残ると、焼きムラ・気泡・未充填・寸法不良などの問題が発生します。真空ポンプを使って金型内部の空気を脱気することで、これらの欠陥を防ぐことができます。
（引用）https://fa-products.jp/column/vacuum-pump-guide/
2. 真空ポンプの基本原理と種類
2-1. 真空の定義
大気圧（約101.3kPa）よりも低い状態を「真空」と呼び、ゴム成型では一般に**-90〜-100kPa**の範囲で真空を使用します。
2-2. 主なポンプの種類と特徴
| 種類 | 特徴 |
|---|---|
| ロータリーベーン式（油式） | 最も一般的。オイルで潤滑・密封し高真空を確保。メンテナンスがやや必要。 |
| ドライポンプ | オイルを使わず粉塵にも強い。コスト高め。 |
| 水封式（液封式） | 水を封じ材とし、腐食性ガスや高温に強い。水の管理が必要。 |
| 油封式 | 高真空が得られ、構造が安定しているがオイル劣化に注意。 |
3. 真空ポンプの活用法と運用例
成型工程では、金型を閉じる直前に吸引を開始し、エアを排出してから加圧・加熱工程に移行します。制御にはPLCを使用し、吸引時間・圧力レベルを細かく調整することが品質向上に繋がります。
4. 製品別の真空設定例
| 製品 | 真空度（目安） | 解説 |
|---|---|---|
| 精密Oリング | -98kPa | 寸法精度重視 |
| 厚物ゴム板 | -95kPa | 気泡の混入を防止 |
| 異形ゴムパーツ | -90kPa | 流動性を優先 |
5. 油式と水式の比較と選び方
| 比較項目 | 油封式 | 水封式 |
|---|---|---|
| 真空度 | 高い | 中程度 |
| メンテナンス | オイル交換が必要 | 水の管理が必要 |
| 使用環境 | 一般成型向け | 湿潤・腐食性ガスに強い |
| 導入コスト | 中程度 | やや高め |
6. トラブル防止とメンテナンス
- 配管の気密性確認：接続部からの空気漏れが真空効率を損なう。
- フィルター管理：ゴム粉や油が混入しやすいため、定期交換が必要。
- オイル・水の管理：定期的な交換や水質・オイル粘度の確認が重要。
7. 導入効果と現場での実績
- 成型不良率の大幅低減（例：50% → 3%）
- 成型サイクル短縮による生産性向上（例：5分 → 4.2分）
- 成型品の外観・寸法安定性が向上
- 金型寿命の延長や作業環境の改善
おわりに
ゴム成型の品質と効率を両立させるには、真空ポンプの適切な選定と運用がカギとなります。油式・水式それぞれの特徴を理解し、製品特性に合った活用を行うことで、現場の生産性と品質は飛躍的に向上します。
今後の導入検討や現場改善の参考になれば幸いです。
中国語訳
一、真空泵在橡胶成型中的必要性
由于橡胶具有高粘性，在注入模具时容易夹带空气，导致如下问题：
- 气泡、烧焦、填充不全
- 外观缺陷
- 尺寸不良
通过在成型前使用真空泵将模腔中的空气抽出（脱气），可有效防止上述缺陷发生，特别适用于精密部件与对外观要求高的产品。
二、真空泵的原理与类型
2.1 什么是真空？
真空指的是低于大气压（约101.3kPa）的状态。橡胶成型中常用的真空度为**-90kPa至-100kPa**（表压）。
2.2 真空泵主要类型与特点
| 类型 | 特点 |
|---|---|
| 旋片式（油封式） | 常见类型，利用油进行润滑与密封，真空度高，需定期更换油 |
| 干式泵 | 不使用油，适用于洁净环境，价格较高 |
| 水封式（液封泵） | 使用水作为密封液，耐高温、耐腐蚀，适合连续运行，需管理水质 |
| 油封泵 | 可达高真空，结构稳定，但需注意油劣化 |
三、真空泵的应用方法
- 在成型周期中，通常在模具合模前或同时启动抽真空程序。
- 真空系统连接至模具的吸气口，并通过真空软管连接真空泵。
- 抽气时间与真空度通过PLC控制器进行精确设置，例如在1-3秒内达到-95kPa。
四、不同产品的真空设置实例
| 产品类型 | 推荐真空度 | 特点说明 |
|---|---|---|
| 精密O型圈 | -98kPa | 尺寸精度要求高 |
| 厚橡胶垫 | -95kPa | 防止气泡夹带 |
| 异形密封件 | -90kPa | 优先考虑流动性 |
五、油封式与水封式的对比与选型指南
| 比较项目 | 油封式 | 水封式 |
|---|---|---|
| 真空度 | 高（可达-99kPa） | 中等（约-90kPa） |
| 维护性 | 需定期更换油 | 需补水、排水管理 |
| 适用环境 | 一般橡胶成型 | 湿热、腐蚀性气体环境 |
| 成本 | 中等 | 稍高 |
六、维护要点与注意事项
- 检查密封性：连接口和模具密封圈漏气会降低真空效果。
- 滤网管理：防止可塑剂或粉尘吸入泵体，应定期更换过滤器。
- 油或水的管理：
- 油封泵需注意油品老化和粘度下降；
- 水封泵需防止水变质、冻结或汽化。
七、使用成效与案例
- 不良率从50%降至3%
- 成型周期从5分钟缩短至4.2分钟
- 提高产品外观质量与尺寸稳定性
- 延长模具寿命，提高工作效率
结语
真空泵在橡胶成型中的应用，不仅能显著提升产品质量，还能有效缩短成型周期，降低不良品率。了解油封式与水封式的特性，针对产品特点进行选择和运用，将对生产现场的改善起到重要作用。
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