営業戦略に活用できるDMU理論と具体的実践方法

営業活動に活用できるDMU理論と具体的実践方法 ゴム業界column

ワタナベ
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ゴム業界で仕事をする中で気付いたことを
コラムとして執筆していきます。
今回はVol.7 【営業戦略に活用できるDMU理論と具体的実践方法】
というゴム業界で働く営業部門の方へ向けた
コラムを書きます。

営業戦略を成功させるためには、顧客企業内の意思決定プロセスを正確に理解し、それに基づいたアプローチを行うことが重要です。その際に非常に有効なフレームワークが「DMU(Decision Making Unit)」です。本記事では、DMUの基本的な理論から、営業現場での具体的な活用方法まで、実践的かつ詳しく解説します。


DMU(意思決定単位)とは?

DMUの定義

DMUとは、**Decision Making Unit(意思決定単位)**の略で、
顧客企業内で購入意思決定に関わる複数の役割や人物の集合体を指します。
特にB2B営業においては、単一の担当者だけでなく、組織全体の意思決定プロセスを理解することが欠かせません。

(出典)https://cyber-synapse.com/dictionary/en-all/dmu_purchasingprocess/

DMUを構成する主な役割

DMUは、以下の6つの役割によって構成されます。それぞれの役割がどのように意思決定に関与するのかを理解することが、営業戦略を立てる上での基本となります。

  1. イニシエーター(Initiator)
    購買プロセスを始動させる人物。現場から新しい設備やサービスの必要性を提案するケースが多いです。
    • 例:設備の老朽化を指摘し、新規導入を提案する現場リーダー。
  2. ユーザー(User)
    実際に製品やサービスを使用する人物で、操作性や使い勝手を重視します。
    • 例:新しいシステムを使用するオペレーター。
  3. インフルエンサー(Influencer)
    意思決定に影響を与える人物で、専門知識を持つことが多いです。製品やサービスの技術的な妥当性を評価します。
    • 例:エンジニアや技術コンサルタント。
  4. 意思決定者(Decision Maker)
    最終的に購入を決定する権限を持つ人物。主にROIや予算に基づいて判断します。
    • 例:工場長や部門長。
  5. 購買担当者(Buyer)
    実際に購入契約や価格交渉を行う人物で、条件面での調整を担当します。
    • 例:購買部門の担当者。
  6. ゲートキーパー(Gatekeeper)
    営業とDMUメンバーとの情報の流れをコントロールする人物。アポイント取得などで鍵を握ります。
    • 例:秘書や受付スタッフ。

DMUを活用する営業戦略のメリット

DMU理論を取り入れることで、従来の営業活動に以下のようなメリットが生まれます。

意思決定プロセスの可視化

DMUの構成メンバーを特定することで、顧客企業の意思決定プロセスが明確になります。どの人物がどの役割を担い、どの段階で関与するかを把握することで、効果的な営業計画を立てられます。

ピンポイントなアプローチが可能

DMUの役割に応じてカスタマイズされた提案が可能になるため、説得力が増します。たとえば、技術的な説明が必要なインフルエンサーにはデータや仕様書を提示し、意思決定者にはROIを強調するなど、適切なアプローチが取れます。

リソースの最適配分

影響力の大きい役割(例:意思決定者やインフルエンサー)に重点的にリソースを配分することで、効率的に商談を進めることができます。


DMUを活用した営業戦略の具体的手順

DMUを営業戦略に取り入れるには、以下の手順に従って実行します。

ステップ1:ターゲット企業のDMU構成を特定する

まずはターゲット企業内でDMUを構成するメンバーを特定します。

  1. 情報収集
    • 顧客企業の組織図や役職、プロジェクトの責任者をリサーチ。
    • 既存のコンタクト先や業界ネットワークから情報を収集。
  2. DMUメンバーの役割を推測
    営業活動やヒアリングの中で、DMUメンバーがどの役割を果たしているか整理します。
    • 例:現場リーダーが「イニシエーター」、工場長が「意思決定者」。

ステップ2:役割ごとに適切なアプローチ方法を設計する

DMUの各役割に応じた戦略を設計します。

  • イニシエーター
    • 問題提起を促す資料やケーススタディを提供。
    • 製品導入のきっかけを作る。
  • ユーザー
    • 製品の操作性や利便性をデモンストレーションで体験させる。
    • 使用後の具体的なメリットを説明。
  • インフルエンサー
    • 技術仕様書やエビデンスデータを提示し、信頼性をアピール。
  • 意思決定者
    • コスト削減やROIの計算結果を具体的に示す。
    • 他社の成功事例を共有。
  • 購買担当者
    • 契約条件や価格面で柔軟な提案を行う。
    • 契約プロセスをスムーズに進める。
  • ゲートキーパー
    • 丁寧な対応を心掛け、情報へのアクセスを円滑化。

ステップ3:コミュニケーション計画を立てる

各役割に適したタイミングと方法で接触します。

  1. 情報提供のカスタマイズ
    DMUメンバーごとに必要な情報を整理し、提供します。
    • 例:「現場の効率化」をイニシエーターに、「コスト削減効果」を意思決定者に伝える。
  2. タイミングを見極める
    購買プロセスの進行状況に応じて、適切なタイミングでアプローチ。
    • 例:予算決定時期や新規プロジェクトの開始前。

DMUを活用した営業戦略の具体例

ケース:製造業のB2B営業

ある製造業の企業に新しい設備を提案する場合、以下のようにDMUを活用します。

  1. イニシエーター(現場リーダー)
    • 設備老朽化による効率低下を問題視し、新設備導入を提案。
  2. ユーザー(オペレーター)
    • 操作性や使用感を重視するため、デモンストレーションを実施。
  3. インフルエンサー(エンジニア)
    • 技術仕様や耐久性のエビデンスを提供し、製品の信頼性を評価。
  4. 意思決定者(工場長)
    • 投資対効果(ROI)や具体的なコスト削減額を説明。
  5. 購買担当者
    • 契約条件を交渉し、プロセスを進行。

アプローチ例

  • 現場リーダーには問題解決の重要性を伝え、工場長には長期的なコスト削減の魅力を強調。
  • エンジニアには耐久性データを提示し、購買担当者には納期や支払い条件を柔軟に調整。

DMU活用を最大化するポイント

  1. 影響力の大きい役割を優先 DMU全員に均等にアプローチするのではなく、意思決定に大きな影響を与える人物に重点を置く。
  2. 長期的な関係構築 商談が終了しても定期的にフォローを行い、信頼関係を強化する。
  3. CRMツールの活用 顧客管理ツールを使ってDMUメンバーごとの情報を整理し、進捗を可視化。

まとめ

DMU理論を活用することで、顧客組織内の意思決定プロセスを深く理解し、適切な営業戦略を立てることが可能です。各メンバーの役割を明確にし、それぞれにカスタマイズした提案を行うことで、成約率を向上させ、リソースを効率的に活用できます。ぜひ、DMU理論を営業活動に取り入れて、成果を最大化しましょう。

ワタナベ

運営者の名前:ワタナベ

ゴム業界に20年以上勤務し、海外拠点で事業責任者として10年以上勤務するゴムの専門家です。

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