ワタナベ
ゴム業界で働く中で気付いた事を
日々コラムとして執筆していきます。
今回はVol.49 CAD・CAM・加工設備を連結する方法【製造現場のデジタル統合ガイド】というコラムを書いていきます。
製造現場のDX（デジタルトランスフォーメーション）において、「CAD → CAM → CNC機」までをシームレスにつなげることは、設計品質の維持、加工時間の短縮、人為ミスの防止に直結します。ここでは、その連結手順と実務ポイントを具体的に解説します。
◆ 1. 全体フローの概要図
plaintextコピーする編集するCAD（設計） → CAM（加工条件付与） → ポストプロセッサ（Gコード変換） → CNC機械（加工実行）
この4ステップをデジタルで一貫連携するのが連結の目的です。
◆ 2. 各工程の詳細と使用ツール
| 工程 | 説明 | 主な使用ツール |
|---|---|---|
| CAD | 3D設計。部品・金型の形状データ作成 | CATIA、SolidWorks、NX、Creoなど |
| CAM | 加工パスの設計と工具条件設定 | CATIA Machining、Mastercam、NX CAM、PowerMILLなど |
| ポストプロセッサ | 加工機に応じたGコードへ変換 | 各CAMソフトの出力機能（機種別） |
| 加工設備（CNC） | 実際の切削加工実行 | FANUC、OKUMA、DMG MORI、Mazakなどの制御機 |
◆ 3. 連携の実現方法（CATIAを例に）
ステップ①：CADで3Dモデル作成
- CATIAやSolidWorksで金型形状を設計（.CATPartや.STEP形式など）
- 加工を見据えて「加工しやすい設計（DFM）」を意識
ステップ②：CAMで加工定義
- 同一プラットフォーム内でCAM（例：CATIA Machining）を起動
- 工具径、送り速度、切削順序などを設定
- 加工パスを自動生成・編集
ステップ③：ポストプロセッサでGコード出力
- 使用するNC装置（例：FANUC）に合わせたポストプロセッサを選択
.NCや.txt形式でGコード出力（例：G01 X100 Y100 F500など）
ステップ④：CNC機へ送信・加工開始
- LAN、USB、DNC（Direct Numerical Control）でNCデータを機械へ送信
- マシン上で確認後、実行・加工スタート
◆ 4. 連結における重要な管理項目
| 管理項目 | 目的 |
|---|---|
| データ形式の整合（STEP, IGES） | 他CAD/CAM間でのスムーズな受け渡し |
| 工具ライブラリの標準化 | 加工パスの自動化・安定化 |
| 加工テンプレートの活用 | 同一形状に対して一貫した処理が可能 |
| シミュレーション | 加工干渉・工具破損の事前検出 |
| バージョン管理（PDM） | モデル変更に対するNCデータの再出力の追従 |
◆ 5. 連結の効果と利点
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| 加工準備の短縮 | 手作業でのデータ変換が不要 |
| 加工ミスの削減 | 設計意図が正確に加工へ反映される |
| 設計変更への即対応 | モデル修正 → 再パス生成がスムーズ |
| 現場の属人化排除 | 工程が標準化され、引き継ぎ容易 |
◆ 6. CNC機とネットワーク連携（スマート工場対応）
近年は「DNC通信」や「IoT化」により、加工機とPCがネットワークで直結されます。
| 方法 | 説明 |
|---|---|
| DNC（Direct Numerical Control） | LAN経由でNCデータを直接送信・管理 |
| IoTシステム | 稼働監視・加工ログ・工具寿命をリアルタイム把握 |
| MES/ERP連携 | 工場全体の生産指示・進捗状況と接続可能 |
◆ まとめ：CAD・CAM・加工設備を連結するには
| 実施項目 | 概要 |
|---|---|
| CADとCAMの連動 | 同一プラットフォーム（例：CATIA）を使うことでスムーズ化 |
| ポストプロセッサの準備 | 各CNC制御に対応した設定が必須 |
| データの標準化 | 工具ライブラリ、テンプレート、ファイル形式 |
| 社内体制の整備 | 教育・マニュアル・作業フロー統一が重要 |
中国語
| 日本語 | 中国語 | ピンイン | 意味・補足 |
|---|
| 設計 | 设计 | shè jì | CADによる製品・金型の設計 |
| 加工 | 加工 | jiā gōng | 材料を削る・切るなどの工程 |
| 金型 | 模具 | mú jù | 成形用の型。ゴム・プラスチック両方可 |
| 三次元CAD | 三维CAD | sān wéi CAD | 3D設計ソフト全般。CATIAなど |
| ソリッドモデリング | 实体建模 | shí tǐ jiàn mó | 立体形状のモデリング |
| 曲面 | 曲面 | qū miàn | 滑らかな自由曲線面 |
| 押し出し | 拉伸 | lā shēn | パッド（Pad）機能。形状を直線方向に伸ばす |
| 回転 | 旋转 | xuán zhuǎn | スケッチを軸に回して立体化（Shaft） |
| 図面 | 图纸 | tú zhǐ | 2D図（製造指示書） |
| 寸法 | 尺寸 | chǐ cùn | サイズや長さの指定値 |
| 拘束 | 约束 | yuē shù | スケッチ内の寸法・幾何拘束条件 |
| 加工経路 | 加工路径 | jiā gōng lù jìng | 加工パス。CAMで設定する |
| 切削工具 | 刀具 | dāo jù | エンドミルやドリルなど |
| 工具径 | 刀具直径 | dāo jù zhí jìng | 加工パスに大きく影響 |
| 工具寿命 | 刀具寿命 | dāo jù shòu mìng | 工具交換の目安時間 |
| 主軸 | 主轴 | zhǔ zhóu | 回転部分。工具を取り付ける軸 |
| 送り速度 | 进给速度 | jìn gěi sù dù | 工具が移動する速度（加工条件の一部） |
| 主軸回転数 | 主轴转速 | zhǔ zhóu zhuǎn sù | rpm。工具の回転速度 |
| 加工機 | 加工机 | jiā gōng jī | CNC機械のこと。マシニングセンタなど |
| CNC工作機械 | 数控机床 | shù kòng jī chuáng | コンピュータ制御の加工機 |
| 三軸加工機 | 三轴加工机 | sān zhóu jiā gōng jī | XYZの3軸方向に動く機械 |
| 五軸加工機 | 五轴加工机 | wǔ zhóu jiā gōng jī | XYZ＋傾き2軸の多軸加工対応機 |
| 加工シミュレーション | 加工仿真 | jiā gōng fǎng zhēn | NCパスを仮想的に動かして検証すること |
| Gコード | G代码 | G dài mǎ | CNC機を動かす命令コード |
| ポストプロセッサ | 后处理器 | hòu chǔ lǐ qì | CAMからGコードへ変換する中間処理 |
| NCデータ | 数控程序 | shù kòng chéng xù | Gコードファイルのこと |
| 材料ブロック | 材料块 | cái liào kuài | 加工前の素材。金属塊など |
| ワーク固定 | 工件固定 | gōng jiàn gù dìng | 加工材料の機械への固定作業 |
| 干渉チェック | 干涉检查 | gān shè jiǎn chá | 工具とワークの衝突確認 |
| デジタル製造 | 数字化制造 | shù zì huà zhì zào | CAD→CAM→CNCを連結した自動化プロセス全体 |
コメント