まず初めに要求事項を紹介いたします。
7.4 コミュニケーション
組織は,次の事項を含む,品質マネジメントシステムに関連する内部及び外部のコミュニケーションを決定しなければならない。
a) コミュニケーションの内容
b) コミュニケーションの実施時期
c) コミュニケーションの対象者
d) コミュニケーションの方法
e) コミュニケーションを行う人
抽象的で一般的な人がみても正直活用出来る内容ではないので
ISO9001が会社で役に立たない、形骸化する意味がよくわかります。
そこで会社で活用するための方法をわかりやすく解説しますので
本記事を読むことでISO9001の【7.4コミュニケーション】
会社での活用の仕方が具体的にイメージ出来るようになります。
ISO9001の7.4「コミュニケーション」は、組織が必要な情報を適切に伝達し、関係者間で共有することを求めています。しかし、この要求事項は抽象的であるため、実務で役立てるためには具体的な仕組み化が必要です。
本記事では、7.4の要求事項を会社の目的に合わせて仕組み化し、実効性を持たせる方法を解説します。
【7.4コミュニケーション】の課題
- 抽象的な要求: 具体的な手法が示されていないため、何をどう実施すればよいのか分かりにくい。
- 一方向の情報伝達: 経営陣から現場へのトップダウン型に偏り、双方向のコミュニケーションが不足しがち。
- 情報の断片化: 必要な情報が適切に共有されず、部門間での連携が不十分になることがある。
役立つ【7.4コミュニケーション】の仕組み化
ステップ1: コミュニケーションの目的を明確化
まず、会社全体でコミュニケーションの目的を明確にします。
- 例:
- 品質目標達成の進捗共有。
- 現場の課題を経営層にフィードバック。
- 顧客要求や法規制の情報を全社で周知。
目的を具体的に設定することで、情報伝達の意義が明確になり、
従業員が積極的に取り組む基盤を整えます。
ステップ2: コミュニケーションの種類を分類
情報を「内部」「外部」「双方向」に分類し、それぞれの目的に応じた手法を設定します。
内部コミュニケーション
- 手法:
- 定例会議(全社、部門、チーム)
- 社内ポータルサイトやチャットツール
- ビデオやポスターを使ったビジュアル情報共有
社内での情報共有を活発にすることで、業務効率化と組織内連携を強化します。
外部コミュニケーション
- 手法:
- 顧客向け品質報告書や進捗報告
- 取引先との定期的なレビュー会議
- コンプライアンス関連情報の共有
外部との透明な情報共有は、信頼性を高め、顧客満足度向上にもつながります。
双方向コミュニケーション
- 手法:
- 従業員満足度調査や意見収集アンケート
- フィードバック会議やワークショップ
- 改善提案制度の導入
双方向のやり取りを増やすことで、従業員の意見を反映した改善が可能になります。
ステップ3: 情報伝達のプロセスを明確化
情報が適切に伝達されるよう、明確なプロセスを構築します。
- 情報の発信: 発信者を明確にし、責任を持たせる。
- 情報の内容: 何を伝えるべきか具体的に定義。
- 伝達手段: 会議、メール、デジタルツールなど適切な手段を選択。
- 受信の確認: 受信者が内容を理解しているか確認。
このプロセスを標準化することで、情報伝達のミスを防ぎ、効率的なコミュニケーションが可能になります。
ステップ4: デジタルツールの活用
コミュニケーションの効率化と一貫性を確保するために、デジタルツールを活用します。
- 例:
- プロジェクト管理ツール: Asana、Trelloなどで進捗共有。
- チャットツール: SlackやMicrosoft Teamsで迅速な情報共有。
- ドキュメント共有プラットフォーム: Google DriveやSharePointで文書の一元管理。
デジタルツールを活用することで、リアルタイムな情報共有や業務効率化を実現できます。特に多拠点を持つ企業では、これらのツールが重要な役割を果たします。
(出典)https://paytner.co.jp/paytter/wp-content/uploads/2023/05/Asana.png
(出典)https://www.consultsourcing.jp/cms/wp-content/uploads/2018/06/trello_icatch_small.jpg
ステップ5: コミュニケーションの効果をモニタリング
PDCAサイクルを活用し、コミュニケーションの効果を定期的に評価・改善します。
- モニタリング指標:
- 情報伝達のスピード(発信から受信までの時間)。
- 情報の正確性(フィードバックやアンケートで確認)。
- 従業員満足度(意見収集や調査結果)。
- 改善方法:
- フィードバック会議を定期的に開催。
- 必要に応じて伝達手段やプロセスを見直し。
継続的に指標を追跡し、改善を繰り返すことで、コミュニケーションの質を向上させます。
成功事例: ゴム製造業B社の取り組み
課題
- 経営層から現場への指示が不明確。
- 部門間の連携不足で品質トラブルが多発。
解決策
- 全社コミュニケーションフローの整備:
- 経営層、部門責任者、現場担当者間の情報伝達を可視化。
- デジタルツールの導入:
- チャットツールで日常的な情報共有を促進。
- 品質データをクラウドで一元管理。
- 双方向コミュニケーションの推進:
- 現場改善提案制度を導入し、従業員からのアイデアを反映。
結果
- 品質トラブルが25%減少。
- 部門間の連携が強化され、業務効率が15%向上。
- 従業員の満足度も向上し、職場環境の改善に成功。
まとめ
ISO9001の7.4「コミュニケーション」を実効性のある仕組みにするためには、目的の明確化、情報の分類と伝達プロセスの整備、デジタルツールの活用が重要です。
また、PDCAサイクルを取り入れることで継続的な改善が可能になります。
形骸化した規格運用を脱却し、コミュニケーションを組織成長の原動力に変えるために、今すぐ具体的な仕組み化を始めましょう。
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