ゴム製品は、単にゴムだけで作られているわけではありません。
実際には、さまざまな添加剤がゴムの性能や耐久性、加工性を大きく左右しています。
これらの添加剤は、ゴムの特性を最適化するために非常に重要です。
ここでは、ゴム配合に使われるゴム以外の添加剤について詳しく説明していきます。
カーボンブラック – 強度と耐摩耗性を支える黒い補強材
カーボンブラックの種類と特性
カーボンブラックは、その製造方法や用途に応じてさまざまな種類に分類され、それぞれ異なる特性を持っています。以下に、主な種類とその特性を詳述します。
製造方法による分類
- ファーネスブラック(Furnace Black): 油やガスを高温で不完全燃焼させて生成される最も一般的なカーボンブラックです。粒子径やストラクチャーをコントロールしやすく、ゴムの補強剤として広く使用されています。代表的な品種には、N330(HAF)やN550(FEF)があります。
- チャンネルブラック(Channel Black): 天然ガスを燃焼させ、その煙をチャンネル鋼に析出させて得られる超微粒のカーボンブラックです。主に特殊な着色剤として使用されます。
- アセチレンブラック(Acetylene Black): アセチレンガスを熱分解して得られるカーボンブラックで、導電性が高く、不純物が少ないのが特徴です。主に電子部品や導電性ゴムの材料として利用されます。
- サーマルブラック(Thermal Black): 天然ガスを原料とし、燃焼と熱分解を繰り返して製造される方法です。粒子径が大きく、主にプラスチックの増量剤として使用されます。
用途による分類
- ゴム用カーボンブラック: ゴム製品の補強材として使用され、特にタイヤ用には耐摩耗性や引張強度を向上させるために特化した品種が多く存在します。
- 着色用カーボンブラック: 塗料やインキなどの着色剤として使用され、粒子径が小さいほど着色力が強くなります。
- 導電性カーボンブラック: 導電性を付与するために使用され、アセチレンブラックやケッチェンブラックが代表的です。
特性による分類
- 粒子径: カーボンブラックの粒子径は3〜500 nmの範囲で、粒子が小さいほど比表面積が大きくなり、ゴムや樹脂との相互作用に影響を与えます。
- ストラクチャー: 粒子同士の結合状態を示し、油の吸収量で評価されます。ストラクチャーが高いほど、ゴムや樹脂の補強効果が向上します。
- 導電性: 導電性カーボンブラックは、電気抵抗を低下させることができ、電子機器や静電気防止材料において重要です。
これらの特性を考慮することで、用途に応じた最適なカーボンブラックを選定することが可能です。例えば、自動車タイヤにはファーネスブラックが多く使用される一方で、高純度が求められる電子機器にはアセチレンブラックが選ばれることがあります。
オイル(軟化剤) – 柔軟性と加工性を高める潤滑剤
オイル(軟化剤)は、ゴムに柔軟性や加工性を与えるために使用されます。
特に、ゴムの成形や加硫工程において、オイルの添加は作業性を大幅に向上させ、
ゴム製品の最終特性にも影響を与えます。オイルにはさまざまな種類があり、
用途や製品の特性に応じて選ばれます。
オイルの種類:
- 芳香族オイル: 価格が比較的低く、ゴムの柔軟性を向上させる効果が高いですが、環境負荷が大きく、欧州などでは使用が制限される場合があります。
- ナフテン系オイル: 低温特性に優れ、寒冷地で使用されるタイヤや工業用ゴム製品に適しています。特に、低温環境下でも割れにくい柔軟性を保つことができるのが特徴です。
- パラフィン系オイル: 高温環境でも安定した性能を発揮し、耐久性に優れたゴム製品に適しています。エンジン周りや自動車部品で使用されるゴム製品に多く使われます。
オイルの効果:
オイルの添加によってゴムの流動性が向上し、成形時の圧縮ムラや硬化ムラを防ぎます。
また、硬度や柔軟性のバランスを調整するためにも重要な役割を果たします。
通常の配合量は10~20 phrで、適切なバランスが取れないと引張強度や耐摩耗性が低下する可能性があるため、慎重な設計が必要です。
加硫剤 – ゴムの硬度と耐久性を形成する要素
加硫剤は、ゴム製品における最も重要な添加剤の一つで、
ゴム分子に架橋(クロスリンク)を形成させることで、柔らかい生ゴムを硬くし、
耐久性や弾性を持たせる役割を果たします。
ゴムの分子構造は加硫によって改変され、これにより製品の特性が大きく変わります。
主に加硫剤として使用されるのは硫黄で、天然ゴムや合成ゴムのほとんどに使用されていますが、特殊な環境下では過酸化物加硫剤も利用されます。
加硫反応のメカニズム
加硫反応は、ゴム分子の二重結合に加硫剤が作用し、分子同士を架橋結合でつなぐ化学反応です。
この架橋結合によって、ゴムの分子がしっかりと結びつき、ゴムの柔らかさが減少し、硬度や強度、弾性が向上します。
加硫反応は加硫剤単体では効率的に進行しないため、
通常は加硫促進剤や加硫活性剤と組み合わせて使用されます。
硫黄加硫
硫黄加硫は、最も一般的な加硫方法です。
硫黄がゴム分子間に架橋を形成し、これによってゴムの硬化が進みます。
硫黄加硫の特徴は、強度と弾性が両立しやすいことです。
タイヤ、ホース、工業用シール材など、
ゴムの柔軟性や耐久性が求められる製品に広く使われています。
硫黄の特徴と配合量
硫黄は通常、1.5~3.0 phr(parts per hundred rubber)の範囲でゴムに配合されます。
配合量によってゴムの硬度や弾性が調整されます。
配合量が多いと硬度が増し、引張強度も向上しますが反面柔軟性や弾性が低下する可能性があります。逆に少量の硫黄では、柔らかいゴムが得られるものの、耐摩耗性や耐久性が不足することが多いです
架橋密度と硬度の関係
架橋密度が高くなると、ゴムはより硬くなり、引張強度や耐摩耗性が向上しますが、同時に柔軟性が減少します。低架橋密度の場合、柔軟で伸びやすいゴムになりますが、硬度や耐摩耗性が劣ります。架橋密度は硫黄加硫の条件や促進剤の種類、量によって細かく制御されます。
過酸化物加硫
過酸化物加硫は、耐熱性や耐薬品性が特に求められる製品に使用される加硫方法です。過酸化物は、ゴム分子間に炭素-炭素架橋を形成し、硫黄加硫とは異なる硬化特性を持つゴムを作り出します。
過酸化物加硫は、高温環境下で使用されるゴム製品に適しています。
たとえば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)やシリコーンゴムなどでよく使用され、
エンジン部品や化学薬品にさらされるシール材などに適しています。
過酸化物の特徴と配合
過酸化物加硫は、通常の硫黄加硫よりも高温で行われ、200°Cを超える高温環境でも安定した性能を維持します。代表的な過酸化物加硫剤としては、ジクミル過酸化物や過酸化ベンゾイルがあります。
過酸化物加硫では、硫黄のように柔軟性と強度をバランスよく調整するのではなく、
より高温での安定性が求められる場面で優れた性能を発揮します。
その他の加硫剤
加硫はゴムの特性を向上させるための重要なプロセスであり、硫黄加硫や過酸化物加硫以外にもさまざまな方法があります。以下に、これらの方法について詳しく解説します。
樹脂架橋
樹脂架橋は、アルキルフェノール樹脂オリゴマーを使用して行われる加硫方法です。
この方法は、二重結合を持つゴムに適用され、耐熱性や機械的特性を向上させることができます。
特に高温環境での使用が求められる製品に適しています。
ポリオール架橋
ポリオール架橋は、ビスフェノール類を使用して行われる方法であり、
特にフッ素ゴムなどに適しています。この方法も耐熱性が高く、
特定の環境条件下での使用に適しています。
アミン架橋
アミン架橋は、ジアミン化合物を用いて行われる方法であり、アクリルゴムやフッ素ゴムなどに適用されます。この方法は特定の性能向上が期待できる一方で、高コストになることがあります。
金属酸化物架橋
金属酸化物(例:酸化亜鉛)を使用した架橋も存在します。この方法では、金属酸化物が加硫促進剤として機能し、ゴムの物理的特性を向上させます。
金属酸化物架橋は、特に耐熱性や耐油性が求められる製品に適しています。
キノイド架橋
キノイド架橋は、p-キノンジオキシムやp,p’-ジベンゾイルキノンジオキシムなどの化合物を使用して行われます。この方法は、高い耐熱性と安定性を持ち、特に電気部品などでの使用が推奨されます。
これらの加硫方法は、それぞれ異なる特性や利点があり、用途によって使い分けられています。例えば、硫黄加硫はコストが低く広く利用されていますが、高温環境下では樹脂架橋や過酸化物加硫が選ばれることがあります。また、アミンや金属酸化物による架橋は特殊な性能が求められる場合に有効です。これらの選択肢を理解することで、製品設計や製造プロセスにおいて最適な材料選定が可能となります。
加硫促進剤 – ゴムの硬化反応を加速し製品性能を高める重要な役割
加硫促進剤は、ゴムの加硫反応を促進し、加硫速度を向上させるために不可欠な化学物質です。加硫促進剤がない場合、加硫反応は非常に遅く進行し、最終製品の特性が不十分なものとなるため、効率的な製造が難しくなります。加硫促進剤は、加硫剤(主に硫黄)と組み合わせて使用され、ゴム分子間の架橋を迅速かつ効果的に形成し、製品の性能(硬度、耐摩耗性、弾力性など)を向上させます。
加硫促進剤の役割
加硫促進剤は、加硫剤がゴム分子間に架橋結合を形成する際に、化学反応を加速させるために使用されます。加硫反応を効率よく進行させ、短時間で必要な硬度や耐久性を持つゴム製品を作ることができるため、製造効率が大幅に向上します。促進剤の種類と量を調整することで、加硫速度をコントロールし、製品の硬度や柔軟性を細かく調整することが可能です。
加硫促進剤は通常、一次促進剤と二次促進剤に分けられ、製品の特性に応じて適切に選定されます。一次促進剤は主要な反応を加速させる役割を果たし、二次促進剤はその補助として機能し、硬度や弾性を細かく調整します。
加硫促進剤の種類
加硫促進剤は、その特性に応じていくつかのグループに分類されます。それぞれの促進剤は、ゴム製品の特定の用途や特性に応じて使用されます。
チアゾール系促進剤
チアゾール系促進剤は、最も広く使用されている加硫促進剤の一つです。この系統の促進剤は、加硫反応を中程度の速度で進め、製品にバランスの取れた硬度と柔軟性を与えます。最も代表的なものに**CBS(シクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミド)**があり、タイヤ、工業用ホース、シール材などの幅広い製品で使用されています。
- 用途: タイヤやホース、ベルトなど、耐摩耗性と柔軟性のバランスが必要な製品に使用されます。
- 特徴: 加硫速度が適度で、均一で安定した硬化が可能です。耐久性と引張強度が高い製品に向いています。
スルフェンアミド系促進剤
スルフェンアミド系促進剤も、汎用的に使用される促進剤の一つです。この系統の促進剤は、特に高温環境で優れた加硫効果を発揮し、加硫速度が速いため、効率的な製造が求められる場合に適しています。
- 用途: 高温での硬化が求められるゴム製品や、高耐久性が必要な工業製品に多く使用されます。
- 特徴: 高温下での加硫反応が効率的に進行し、耐熱性や硬度が必要な製品に最適です。
ジチオカルバメート系促進剤
ジチオカルバメート系促進剤は、非常に速い加硫反応を引き起こす促進剤です。低温での硬化が可能で、迅速な加硫が必要な場面や、短時間で硬化を完了させたい場合に使用されます。代表例としてはTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)**があり、非常に速い加硫速度が特徴です。
- 用途: 低温での硬化が求められる製品や、迅速な加工が必要なゴム製品に使用されます。
- 特徴: 加硫速度が非常に速く、短時間で硬化が完了するため、生産効率が向上します。
グアニジン系促進剤
グアニジン系促進剤は、特に天然ゴム(NR)でよく使用される促進剤です。このタイプの促進剤は、加硫反応の初期段階を促進し、他の促進剤と併用して使用されることが多いです。特に耐久性が求められる製品に効果的です。
- 用途: 天然ゴム製品、特に耐久性が重要なシール材やガスケットなどに使用されます。
- 特徴: 加硫反応の効率を向上させ、製品の寿命を延ばすことができます。
加硫促進剤の作用と配合
加硫促進剤は、ゴムの配合設計において重要な役割を果たします。促進剤の種類や配合量を調整することで、加硫反応の速度や硬度、弾力性を細かくコントロールできます。加硫促進剤が適切に選定されていない場合、製品の硬度が不均一になったり、加硫不良によって性能が低下することがあるため、配合設計は非常に慎重に行われます。
加硫促進剤の配合量は通常、0.5~2 phr(parts per hundred rubber)程度ですが、製品の用途や特性に応じて調整されます。促進剤が少なすぎると加硫速度が遅くなり、生産効率が低下しますが、過剰に使用すると製品の耐久性が低下することがあります。
一次促進剤と二次促進剤
加硫促進剤は、通常一次促進剤と二次促進剤に分類され、一次促進剤が加硫反応の主な促進役を担い、二次促進剤は補助的に作用します。一次促進剤が反応を開始させ、二次促進剤がその反応を補強することで、製品の硬化特性をより細かくコントロールすることが可能です。
一次促進剤は、主に硫化反応を加速するために使用される化学物質です。これらは、硫黄と反応してゴムの分子間に架橋を形成し、ゴムの強度や弾性を向上させます。代表的な一次促進剤には、チウラム系(例:チウラム、テトラメチルチウラム)やジチオカルバミン酸塩(例:ジチオカルバミン酸ジエチル)が含まれます。これらの化合物は、硫化温度や時間を短縮し、効率的な硫化を実現します。
二次促進剤は、一次促進剤の効果を補完または強化するために使用されます。これらは通常、一次促進剤と組み合わせて使用され、硫化反応の速度や特性を調整します。二次促進剤の例としては、アミン系(例:アミン類)や金属塩(例:酸化亜鉛)が挙げられます。これらは、特定の条件下で反応を促進し、最終的なゴム製品の性能を向上させる役割を果たします。
具体的な薬品名としては、以下のようなものがあります:
- 一次促進剤:
- テトラメチルチウラム: 硫化速度を高めるためによく使用される。
- ジチオカルバミン酸ジエチル: ゴムの弾性と耐久性を向上させる。
- 二次促進剤:
- アミン類: 硫化プロセスをさらに加速し、特定の特性を持つゴム製品を作成する。
- 酸化亜鉛: 硫化反応を助けるだけでなく、ゴムの耐熱性や耐候性も向上させる。
これらの促進剤は、それぞれ異なる機能と効果を持ち、適切に選択・配合することで、高品質なゴム製品が得られます。
加工助剤 – ゴム製品の成形と仕上がりを支える重要な潤滑剤
加工助剤は、ゴムの成形や加工をスムーズに進めるために使われる添加剤で、最終製品の品質向上において重要な役割を果たします。加工助剤は、ゴムの流動性を高め、成形工程でのゴムの挙動を最適化します。これにより、製品が型にしっかりと充填され、表面の仕上がりが均一になるだけでなく、最終的な機械的特性や物理的な均一性にも影響を与えます。
加工助剤の役割
加工助剤は、以下のような重要な役割を果たします。
- 成形性の向上: 加工助剤は、ゴムの流動性を向上させることで、成形時にゴムが型内にスムーズに流れ込むようにします。特に複雑な形状の製品や高精度の成形が必要な場合に、この効果が顕著です。
- 硬化の均一性の向上: ゴム内部での加硫反応を均一に進めるために、添加された薬品がゴム全体に均一に分散されるようにする働きも担います。これにより、製品全体の物性が均一になり、部分的な硬度差や不均一な硬化を防ぎます。
- 表面仕上げの改善: 加工助剤は、製品の表面を滑らかにし、最終的な外観の品質を高めます。成形時のゴムの滑り性を向上させることで、離型工程もスムーズに行われ、製品の表面に余分なマークや傷がつかないようにします。
加工助剤の種類
加工助剤には多くの種類がありますが、それぞれ異なる役割や特性を持っています。以下は、代表的な加工助剤とその特徴です。
ステアリン酸
ステアリン酸は、ゴムの加工工程で広く使用される潤滑剤の一つで、ゴムの流動性を高め、加工時の滑りを改善します。また、ゴム製品の加硫促進剤の分散を助け、加硫反応を効率的に進める役割を果たします。特に、ゴムの成形性を向上させ、成形不良(気泡や亀裂の発生など)を防ぐ効果が高いため、多くのゴム製品に使用されます。
- 用途: タイヤ、シール材、ガスケットなど、成形性が重要な製品に使用されます。
- 効果: ゴムの滑り性を向上させ、成形時のトラブルを軽減。さらに、加硫促進剤の分散を助けることで、硬化の均一性を向上させます。
酸化亜鉛
酸化亜鉛は、ゴムの加硫促進剤を活性化し、加硫反応を効率的に進行させるための重要な加工助剤です。また、ゴムの耐摩耗性や引張強度を向上させるための強化剤としても機能します。特に工業用製品やタイヤなど、耐久性が求められる製品でよく使用されます。
- 用途: タイヤ、ホース、耐摩耗性が求められる工業用製品に使用されます。
- 効果: 加硫促進剤の効果を高め、ゴムの硬度や耐久性を向上させます。さらに、酸化亜鉛はゴム製品の耐摩耗性を強化するため、長寿命化に寄与します。
カルシウムステアレート
カルシウムステアレートは、ゴム製品の離型性を向上させるために使用されます。成形工程の最後にゴム製品が型からスムーズに外れるようにする役割を持ち、製品の表面が傷つくのを防ぐことで、高品質な仕上がりを実現します。特に、複雑な形状や繊細な製品の成形においては、カルシウムステアレートの効果が重要です。
- 用途: シール材や複雑な形状のゴム部品、成形時に高い精度が求められる製品に使用されます。
- 効果: 離型性を向上させ、成形品が型からスムーズに外れるようにします。これにより、製品の表面が傷つくのを防ぎ、均一で滑らかな仕上がりを実現します。
シリカ(沈降シリカ)
シリカは、ゴムの加工助剤としても使用され、主にゴムの補強効果を持ちながらも加工性を向上させるために使われます。シリカはカーボンブラックの代替や補完として機能し、耐摩耗性や硬度を高めるだけでなく、ゴムの成形性や流動性を改善します。
- 用途: タイヤやシール、ゴムチューブなど、耐久性が求められつつも高い加工性が必要な製品に使用されます。
- 効果: ゴムの補強効果を発揮しつつ、製品の成形を容易にし、優れた耐摩耗性と耐久性を実現します。
パラフィンワックス
パラフィンワックスは、加工助剤としてだけでなく、老化防止剤としても機能します。ゴムの表面に薄い保護膜を形成し、成形時に摩擦を減少させ、製品がスムーズに加工されるようにします。また、パラフィンワックスはゴムがオゾンや紫外線による劣化から保護されるための層を形成し、製品の耐久性を向上させます。
- 用途: タイヤや工業用ゴム製品、特に屋外で使用される製品に広く使用されています。
- 効果: 加工時の滑りを良くし、同時に製品の表面を保護することで、長寿命化を実現します。外的要因からの保護膜としても機能し、耐老化性を強化します。
加工助剤の使用量と配合設計
加工助剤の配合量は、製品の用途や必要な物性に応じて慎重に選定されます。通常、加工助剤の量は1~5 phr(parts per hundred rubber)の範囲で調整されますが、製品の成形性や表面仕上げに特に注意を払う場合、さらに高い割合で使用されることもあります。過剰に使用すると、ゴムの物性が低下する可能性があるため、配合設計には細心の注意が必要です。
配合設計における加工助剤の重要性
ゴム製品の成形工程や最終仕上げにおいて、加工助剤は非常に重要です。加工助剤が適切に選定されない場合、成形時の不均一性や表面の不良が発生しやすくなり、最終製品の品質に悪影響を及ぼす可能性があります。また、加工助剤はゴム内部での加硫反応の均一性を確保するためにも不可欠です。これにより、製品全体が均一に硬化し、優れた機械的特性を実現できます。
全体のまとめ
ゴム製品の性能や耐久性は、様々な添加剤の適切な使用によって成り立っています。
カーボンブラックは、ゴムの強度、引張特性、耐摩耗性を高め、特にタイヤや工業用製品に広く使用されます。配合によって、ゴムの柔軟性や耐摩耗性のバランスが調整されます。
オイルは、ゴムの柔軟性と加工性を向上させ、低温や高温での性能を最適化します。芳香族、ナフテン系、パラフィン系などが用途に応じて使用され、成形のスムーズさを向上させます。
加硫剤はゴム分子間に架橋を形成し、硬度、弾力性、耐久性を高めるために不可欠です。最も一般的なのは硫黄加硫で、用途に応じて過酸化物加硫も使用されます。
加硫促進剤は、加硫反応を加速し、製品の硬度や反応速度をコントロールする役割を持ち、促進剤の種類に応じて製品の特性を細かく調整できます。
加工助剤は、ゴムの成形や表面仕上げをスムーズに進めるために不可欠で、ステアリン酸や酸化亜鉛などが使用され、製品の品質や均一性を向上させます。
これらの添加剤を適切に組み合わせ、配合設計を行うことで、耐久性、加工性、弾性に優れた高品質なゴム製品を製造することが可能になります。
今回は【基礎理解】ゴム製品を支える秘密:ゴム配合に使われる添加剤の全貌
というテーマで書かせていただきました。
最後まで読んでいただきまして有難うございます。
コメント